1人きりの「成人式」、地区挙げてのお祝いに「恐縮です」 南さつま

緊張の表情で式に出席した下釜凌さん(前列左から2人目)=3日、南さつま市加世田小湊

 緊張の表情で式に出席した下釜凌さん(前列左から2人目)=3日、南さつま市加世田小湊

 鹿児島県南さつま市加世田小湊の地区公民館で3日、同地区で初めての1人の成人式があった。福岡大2年の下釜凌さん(20)。住民や恩師ら約30人の祝福を一身に受け、大人を強く自覚した。
 校区公民館連絡協議会が開催。例年は5、6人が対象になるため、式であいさつに立つ住民は「皆さん」と呼びかけていたが、今回は「凌さん」と下の名前で語りかけた。
 話も個人との思い出に終始した。激励の言葉を送った松元正明さん(65)は、下釜さんが高校時代に市のスポーツ大会で校区対抗リレーに出場したことに触れ「30メートル離されていたのにトップに立った頑張り屋」とたたえた。
 小湊小学校時代は卒業まで学年1人。卒業年度ごとに収納する母校のタイムカプセル棚を開けた下釜さんは「棚も独占していたんだな」と笑顔を見せた。「自分だけのために多くの人に祝ってもらい恐縮したが、うれしい。大人の一歩が身にしみた」と話した。

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